カトリック宝塚教会 月報 巻頭言  カトリック宝塚教会のロゴ

2020年 10月号
ロザリオの月 ともに祈りましょう
主任司祭 サック神父

   キリスト教の伝統の中で、聖母マリアへの祈りは初代教会から始まっていたと考えられています。ロザリオには、いろいろな形、数え方がありましたが、現在のロザリオの形と祈り方を広めることに貢献したのは、ドミニコ会の創立者ドミニコ(1170〜1221)です。聖ドミニコが形作ったロザリオの信心は、1214年に、公に教会の祈りに取り入れられました。深い悩みの中にいたドミニコに聖母が直接その唱え方をお教えになったと言われています。その後、例えば、1460年には福者アラン・ラ・ロッシュの働きが、”ロザリオ”(バラの冠)という言葉を定着させました。

 ロザリオの口頭の主体はアヴェマリアの祈りです。マリアに向けられたこの祈りの深さは、マリアに”アヴェマリア”とはじめて呼びかけたのが、大天使ガブリエルの言葉だったことにあります。この挨拶は、聖母マリアについてのカトリック神学の要約をしめすとさえ言われています。祈り文のそのあとの部分は聖霊にみたされた聖エリザベトの言葉がつけくわえられました。さらに教会が西暦430年に聖マリアが真の神の母であると定義した折りに、「神の母聖マリア、私たち罪びとのために、今も、死をむかえる時もお祈りください」と付け加えました。

 ロザリオの祈りで重要なことは、ドミニコ会のロザリオが広く普及した理由の一つが、「アヴェ・マリアの祈り」の祈りに「念祷、黙想」を加え合わせたことに現れています。
 ”ロザリオ”に関しては、数知れない多くの聖人や教会の研究者によって、その歴史、その考え方、祈り方、念祷(黙想)、祈りの恩恵、などについての研究や報告が為されてきています。今日、この小さな紙面には、とてもお話しきれないのです。しかし、そのなかで、教皇聖ヨハネ・パウロ二世の使徒的書簡「おとめマリアのロザリオ」がロザリオの「念祷、黙想」に関しては、重要と考えます。

 2002年、教皇ヨハネ・パウロ2世は、『使徒的書簡 おとめマリアのロザリオ』を発表し、それによって、伝統的信心業であるロザリオは、キリスト教的祈りの中でもっとも優れたものとして、現代における様々な危機の破壊的力と戦うため、その祈りの実践を強く勧められました。また、その書簡の中で、教皇は、ロザリオの祈りに、洗礼と受難の間のキリストの公生活の秘儀を加えること、一連の公生活の諸秘義を通じて、キリストの人格の重大な側面を観想することができるため、それは“光の秘義”である、とされました。この光の神秘は「わたしは、この世にいる間は、世の光である」というヨハネ9.5から思い浮かべられました。
 その結果、ロザリオの祈りは、「光の神秘」を加えられ、現在では、喜びの神秘、光の神秘、苦しみの神秘、栄えの神秘という4つの念祷から成り立ちます。それぞれの玄義は曜日毎に分けられて唱える習慣があります。伝統的に喜びの神秘は月・土曜日、光の神秘は木曜日、苦しみの神秘は火・金曜日、栄えの神秘は水・日曜日です。

 この祈りは簡単であって同時に意味深い祈りで、子どもが繰ることの出来るほど容易であり、また、それぞれの神秘は、非常に博学な人でさえ、黙想の糧とするほどの深みがあります。これは、瞑想の祈りでもあり、また、願いの祈りでもあって、人の心に信仰上の基本真理を思い出させます。そして、これは福音の大要でもあり、祈りの形態のもとに、キリスト教、カテキズムのポイントが含まれています。主イエス・キリストの生涯の出来事を黙想することによって、主が実際に示された、謙遜と愛の生活の励ましとなります。
 
 私はこのロザリオの祈りを皆さんに是非唱えて欲しいと思っています。起きている時、出勤している時、どこでも簡単に出来る祈りです。自分自身のため、そして祈って欲しいと必要とされる人々のために毎日捧げましょう。一人一人に豊かなお恵みがありますように、聖母マリアを通して、お祈り致します。

 

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